江戸時代においても、勃起不全や、老化による男根(ペニス)の衰えは、男性にとっては大きな悩みでした。そこで、男根が軟弱になっても交合(セックス)に対する意欲は衰えることなく、それを補助・強化するための器具がつくられていました。
その器具は、男根に装着することで一回りサイズが大きくなるので、正常な機能の男根を持った男性も、一回り大きくなった男根で女性を悦ばせようと、交合の時に「男根増大器具」としても利用されていました。
1770年代から1820年代の文献にもその記述が残されていて、この器具を作る専用の職人もいたそうです。江戸っ子の「性」に対する欲求の深さは親しみ深いものがありますね。いくつか種類がありますので、順に紹介していきます。
男根増大に使われた「助け船(たすけぶね)」
「助け船(助計舩)」は、老人や、緊張して勃ちにくい若者が、男根に装着することで、挿入を可能にしていた器具です。
「色道禁秘抄(1834年 天保5年)」に、“その器は、べっ甲にて陰中へ出入り自在ならしむ。下辺は右の隔てあれども、上と左右三方、陰肉に擦れて快楽ありかとや(文中略あり)”と記述が残っていて、べっ甲製の物だったようです。
ただ、亀頭部分と隙間部分は膣壁に接触しますが、下側は完全に接触が遮断されるので、当時の文献にも「ちゃんと肉に擦れて気持ちいいのか?」というリアルな意見も残っています。
女性をイカせるための機能が付いた「胴形(どうがた)」と「鎧形(よろいがた)」
同じ機能のもので、「銅形」と「鎧形」というバリエーションもありました。べっ甲製の他、水牛の角や革で作られていて少しバージョンアップしています。革製の物は熱湯に浸して温めてから使っていたそうで、機能も充実しています。
この2つは、周囲の構造が違っていて、銅形の方は深い溝が掘られていたり、イボイボが付いていて、鎧形の方は格子状に作られていました。どちらも膣壁に刺激を与える効果を狙っていて、現代のイボ突きバイブに似た機能を持たせていることがわかります。
鎧形についても「閨中紀聞枕文庫(1822年 文政5年)」に、“腎虚せぬために使う。異製なるもの多いと言えり(文中略)”と書かれています。
腎虚とは、精液を出し尽くすという意味ですが、これは逆に「回数をこなせる」という意味のことを言っていて男根の感覚を鈍らせることから、早漏防止にも使われていた可能性があります。
また、「いろいろな製品がある」とも記述があるので、もしかしたらヒット商品として流行っていたため、粗悪品も多く出回っていたのかもしれませんね。
避妊や早漏防止に使われた「兜形(かぶとがた)」
兜形は、文字通り、亀頭部分に付ける器具で、避妊の他、男根増大や、早漏防止用にも使われていました。 「鎧」も「兜」も、戦時に装着する物です。女性との交合を「合戦」に例えて、まさに武具をまとう武者の心境で使っていたのかもしれませんね。
まとめ
勃起不全、老化、緊張して勃たない、早漏、、、。現代人も男根の悩みは江戸っ子たちと変わりません。今回紹介した器具は、そんな悩みを補助・強化するために当時の職人たちによって開発されました。
もちろん現代でも、大人のおもちゃは日々開発されています。もしかしたら、性の職人たちの意思は今も受け継がれているのかもしれません。
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